« どこか似ている | トップページ | 限りなくゼロに近い確率 »

2009年4月17日 (金)

世間様は何処へ行った

   自分の子どもが何か悪さをした時、親は子どもを叱ります。昔の親だと、小言の最後のだめ押しは、「とにかくそんなことはしないでおくれ。親が世間(せけん)様から笑われるんだからね」、だったような気がします。すると子どもは、「そうか、親に恥をかかせちゃいけないんだな」と、何となく納得しました。

   笑いものにしたり後ろ指を指したりするような世間様が、本当にたくさんいたのかどうかは定かではありませんが、親にそう言わせるだけの、そして子どもにもある程度そう納得させるだけの世間様は、確かにいたのでしょう。世間様は、少なくともその子どもがどこの家の子どもかは知っていたようです。親の手にあまる子どもがいても、また、多少子どもの躾けに自信のない親がいても、世間様がある程度下支えをしてくれていた時代が確かにあったようです。

   この「世間」という言葉は、今風の「社会」とは少し違うようです。「世間」は「社会」よりもう少し範囲が狭く、限定された地域共同体であり、そこに暮らす人々の「生活」や「連帯」、「助け合い」をより意識させる言葉です。そして場合によっては、「世間の風」といった具合に、「厳しさ」も感じさせます。今は誰もが自分のことで手一杯で、他人に無関心になっていると言われます。また、共通の規範が失われつつあり、連帯感が持ちにくくなっているとも言われます。昔に比べ、「個人の自由」や「プライバシー」には配慮がされるようになりましたが、それらと表裏の関係にあるはずの「責任」や「連帯」が、少し見えにくくなっています。それに伴って、「世間様」も久しく姿を見せなくなってしまいました。何処へ行ったのでしょう。

            

« どこか似ている | トップページ | 限りなくゼロに近い確率 »

教育・学校」カテゴリの記事

コメント

マリーナさんへ

コメント、ありがとうございます。

そうですね、そう言えば「お天道様」というのも
ありましたよね。「世間様」より「お天道様」の方が
温かみがあります。お陰で久しぶりによい言葉を思い出しました。

       くりりん

最近の記事はなかなか素晴らしいテーマです。特に『世間様は何処へ行った』はテーマとしては奥深いものを感じます。一体いつの時代から世間様が登場したのかがわかると、その歴史的な社会背景をみることによって世間様って何なのかがわかるような気がします。江戸時代にはあったのでしょうか。江戸時代はお天道様だったのでは。となると戦前・戦中の時代にお互いに近隣の人たちを監視しあった暗くて忌まわしい社会の仕組みが生んだものかとも思ってしまいます。
ということであれば、世間様が死語になってしまったことは歓迎すべきことではないでしょうか。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 世間様は何処へ行った:

« どこか似ている | トップページ | 限りなくゼロに近い確率 »