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2009年7月

振り子の理論

  平成14年4月に中学校で新しい学習指導要領が完全実施されました。この時の指導要領の基本理念は、「新しい学力観」というものでした。そこでは、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考える力や、判断力、問題解決能力といった力が重視されました。それまでの知識・理解を重視した学力に対して、こうした新しい学力を「生きる力」と総称しました。背景には、偏差値教育や過熱する塾通い、詰め込み主義への反省がありました。この「生きる力」を養うために、ゆとりある生活の中での体験活動が重視されました。こうして「完全学校週五日制」が実施され、問題解決学習として「総合学習」がカリキュラムに導入されました。その結果、各教科の授業時数と学習内容は大幅に削減されました。

  それからわずか1,2年後には早くも揺り戻しがありました。国際的な学習到達度調査(平成15年)で、日本の子どもの学力が落ちたという報告がその引き金でした。学力低下論です。3,4年後には完全に潮目が変わり、学校二学期制の導入(横浜では平成16年)や長期休業期間の弾力化(夏休み、冬休み等の短縮化)などで、各学校は一転して授業時数の確保に奔走しました。総合学習の見直し、土曜日の補習なども促されました。全国学力テスト(平成19年)も、こうした流れの中でほぼ完全実施されました。各学校は、外部評価を活用した学校評価を実施し、学校版マニフェストで成果の数値化と情報公開が求められました。通学区域の弾力化など、学校選択の自由裁量も拡大されました。規制緩和と自由競争をベースにした、小泉構造改革路線の教育版と言ってもよいでしょう。ゆとり教育への反省を背景にしたこの流れの延長線上には、次の新しい学習指導要領が既に位置しています。(中学校で平成21年度より移行実施中)

   自由競争の歪みや弊害は、既に所得格差として実社会に顕在しています。各自治体や各学校が学力競争に走って、今度は地域や学校による学力格差が露呈してきました。大阪府の橋下知事はカッカして、府の教育委員会の尻を蹴飛ばしています。教育委員会は学校現場の尻をたたくでしょう。こうして最後のしわよせは子どもにいくことになります。格差社会の歪みが教育の世界にも及ぶわけです。

  これまでの流れをざっとなぞりながら考えてみましたが、さてこの先はどうなるのでしょうか。詰め込み主義や過度の競争心への極端な反省に、再びまた戻るのでしょうか。振り子に振り回される教育現場は更に疲弊し、子どものストレスは高まるばかりです。大切なのはバランスだと私は思います。

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ピンチはチャンス

  消費者からの様々な質問や要望等を受け付ける窓口の一つに、企業の「お客様相談窓口」があります。恐らくこの窓口には毎日実に様々な相談事が持ち込まれ、そしてその大半は苦情ではないかと想像します。

  中には常習的なクレーマーからの、ほとんど言いがかりのような苦情もあると思います。いくら意を尽くして誠意を持って対応しても、それでも納得しないお客も少なからずいるでしょう。窓口の担当者はきっと文句ばかり言われて、毎日大変な思いをしていると思います。でも考えてみると、苦情を申し立ててきたお客は、少なくともその会社の製品なりに関心は持っているわけです。きちんとした対応をすれば、逆にその会社や製品への信頼性を高めて、また次にもその会社の製品を購入してくれる可能性があります。うまくすればその後は、熱心な顧客になってくれるかもしれません。不特定多数にダイレクトメールをばらまくよりも、ここに力を入れた方がよほど営業効率も高くなるわけです。苦情処理は販売促進の最前線ということになります。

  苦情処理やトラブルをめぐっての企業とお客とのこうした相互関係は、学校と保護者との関係にも見て取ることができます。ピンチが一転してチャンスに変わる様相は、他でも様々なところで同様に見ることができます。「雨降って地固まる」、「災い転じて福となす」といった諺もあります。ピンチを前向きに捉え、チャンスに変えていくプラス思考が、どの職場どの世界にも必要なのだと思います。そう言えば自民党も今は大ピンチですが、見方によってはこれは自民党が旧態から脱皮して、新生自民党が誕生する大チャンスなのかもしれません。ピンチとチャンスは常に裏表です。

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この金額、どう思いますか

 公立中学校の生徒一人当たりに、年間いくら位のお金(税金)が使われているか、ご存知でしょうか。学校運営に要するお金は、主に生徒のための教育備品(跳び箱、楽器の類)や消耗品(紙、インクの類)を購入するためのものですが、その他にも、光熱水費や保護家庭への就学援助費、そして勿論その学校の職員への給与や旅費もあります。この他に、電話代や各種の委託料(防火設備、電気、受水槽、シャッター等の点検、警備会社の巡回、生徒や職員の健康診断、その他)がかかります。こうしたものをトータルすると、小規模校で年間約2億円かかります。生徒一人当たりで年間約90万円弱の計算になります。少し以前の数字を元にしていますが、今でもそう大きくは変わらないはずです。

  公立中学校の生徒どの一人にも、年間で90万円の教育費がかかっているということから何がわかるのでしょうか。私立高校の毎月の月謝が約4万円ですので、年間の学費では50万円になります。初年度に限れば、入学金・施設費が約40万円別にかかります。こう計算してみても、年間一人90万円という金額はやはりかなり大きなものになります。日本よりももっとずっと貧しい国なら、日本の子ども一人分で恐らく100人以上の子どもの教育予算を賄えるのではないでしょうか。でも、欧米の教育先進諸国と比べてはどうなのでしょうか。家庭の経済力(つまりは教育投資額)とこどもの学力との相関関係は明かです。ならば、国や自治体の教育投資額とこどもの学力との相関関係もきっとあるはずです。数値化された学力の比較も大切かもしれませんが、こども一人当たりに対しての教育投資額から、その教育的成果を比較検討してみる必要もありそうです。

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シンプル イズ ザ ベスト

  先日、私が住む団地内で火事がありました。もし我が家が火事になって火の手が広がると、最低、両隣と上下の合わせて4軒のお宅にとんでもない迷惑を掛けることになります。他所のお宅への補償がどうなっているのか不安になって、加入している火災保険の補償内容を改めて調べました。

  保険会社から保険金がきちんと支払われず、その件数や金額が相当なものに上ることが以前問題になりました。不払いの原因はいろいろあるようですが、補償内容の分かりにくさもその一つでしょう。内容は複雑多岐にわたり、また特約だらけです。ちなみに私の火災保険には、14もの特約がついていました。契約時に私がつけたはずの特約ですが、大半は身に覚えがありません。どうしてあんなに特約が多いのでしょうか。保険会社が後から次々と考え出して、他社の類似商品との差別化を図った結果でしょうか。それとも基本契約部分の保険料を抑えるために、特約を増やしているのでしょうか。よく分かりません。保険会社が意図的に分かりづらくさせておいて、顧客からの保険金請求を抑制しているのかと曲解したくなるほどです。

  加入者はもともとあまり細かいところまでは保険証書を読みません。仮に一生懸命読んだとしてもよく分かりません。それどころか、保険会社の担当者でさえ、新商品の保険内容の勉強が追いつかず、よく分かっていないことがあるようなのです。加入者が保険金を請求漏れし、また保険会社の担当者がその漏れに気づかなかったとしても、何の不思議もありません。

  保険は一例に過ぎません。新しい機能がついた新商品が次々と開発され、保険もモノもゴチャゴチャしすぎです。そのゴチャゴチャしたものが、私たちの部屋の中、生活の中に溢れかえっています。今や「シンプル」は、私たちの生活の質を高めるための、最も価値あるコンセプトの一つではないでしょうか。「できるのはこれだけ」商品なら分かり易く、きっと価格も安いでしょう。多分私は喜んで買うと思います。

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選ぶ責任、選ぶ覚悟

  北朝鮮との交渉で一躍脚光を浴びた安倍さんも、ざっくばらんな発言やキャラで、アキバで絶大な人気を誇った麻生さんも、その人気は数ヶ月持続しただけでした。国民の人気だけではありません。国民の一時的な人気に頼って彼らを選んだ自民党の議員さんたちでさえ、支持率が落ちれば途端に手のひらを返し、党首を引きずり下ろそうと画策します。日本国の首相はまるで使い捨てのようです。まことに人心は移り気です。

  民主党政権が樹立された後を勝手に想像しています。一時的な混乱や試行錯誤がしばらくは続くでしょうが、民主党を選んだ人たちは、これをどこまで我慢できるでしょうか。言ったように人心は移り気ですから、期待が大きければ大きいほど、失望や落胆はすぐにもやってきます。高速道路の完全無料化など、美味しそうな話をいっぱい聞かされた後ですので、特に心配です。財源の問題は勿論のこと、基地移転などの安全保障政策など、民主党が手こずりそうな問題が山積しています。

 私は、政治への国民のチェック機能を高めるためには、政権交代が必要だと思っています。そして同時に、もし国民が民主党を選択するならば、1年間程度は我慢してでも、彼らの政策の実行を見守ることが必要だと考えています。賞味期限の短い議員や政党では、国と国民の将来を見据えた政策など行えるわけがありません。じっくりと考えて選択する。そして望む結果が出たのなら、その結果について、私たちも一定の期間は責任と覚悟を持つ。そういうことが必要だと思います。

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