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2020年10月 2日 (金)

空気の力(「非国民!」は生きている)

「強硬でさえあれば喝采する国民の心理を乱用して・・・」。清沢洌という外交評論家がこう書いて軍部の暴走を批判しました。1933年3月号の雑誌「中央公論」誌上の評論です。日本が国際連盟脱退を表明したのが1933年3月27日ですので、その直前に書かれたはずの記事になります。

日本にこんな立派な評論家がいたくらいですから、太平洋戦争が勃発する前に、日米開戦を回避するために日本政府も裏では様々なチャンネルを使って懸命な外交交渉を行っただろうと推測します。でも、戦争反対をひとたび口にすれば、「非国民!」「腰抜け!」の罵声を浴びただろうことは想像に難くありません。日本国民の熱狂は軍部の暴走の後ろ盾となり、主要メディアはこれに迎合し、これを扇動しました。結局、戦争反対の少数の声は熱狂する空気の圧力に押しつぶされました。

空気の圧力というのは、いつの時代にもどこの国にも存在します。中国政府も韓国政府も、日本に融和的な姿勢を見せれば、尖閣や徴用工や慰安婦問題で強硬な自国民や反対勢力から一斉に批判の矢を浴びせられ兼ねません。国民のこうした対日強硬姿勢を、中国韓国政府は時として内政や外交に利用していますが、そろそろ冷静な対応を考えるべき頃になってもなかなかそれを実行できません。中国韓国メディアでも、日本の非や欠点をあげつらう論調の方が大衆受けするのでこれに迎合し、冷静な議論を押しつぶします。国民の強硬姿勢の空気の圧力が、政府の外交姿勢の選択肢を狭める結果となるのです。かつての日本と同じです。

今の日本にも、国民感情国民目線という名の空気の圧力をここそこに感じます。国民も政治家もみんな不安そうに周りを見渡しながら、孤立化を避け、批判されまい、バスに乗り遅れまいと、安心を求めて自ら進んでその圧力の一部に加わります。空気の力はこうしてどんどんと膨らんでいきます。

久しぶりに遠出した(浜離宮恩賜庭園)2020.9.30
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