政治・経済

2020年10月 9日 (金)

現実と妥協する悪人か、不寛容な善人か

責任ある政治家は、何かを選択して決断しなければなりません。何かを選択するということは他の何かを捨てることですから、全体を考えた上でどこかを切り捨てなければならない場合も出てきます。場合というよりも、ほとんどはそうでしょう。つまりは、「悪人」の一部を引き受ける覚悟がないと責任ある政治家は務まらない、ということになります。責任ある政治家は、必然的に「現実と妥協する悪人」でなければならないのです。

社会党の村山富市さんも社民党の福島瑞穂さんも善人でした。村山さんは自社さ政権で首相となって現実の壁とぶつかり、やむなく日米安保と自衛隊を容認しました。つまりそれまでの社会党の政策を捨てて「現実と妥協する悪人」となりました。村山さんはこうして責任ある政治家になりましたが、反対に社会党はその存在意義を失い凋落しました。今は跡形もありません。

社民党の福島さんも民主党と連立して政権の一角を占めましたが、普天間基地移設問題で連立政権を離脱しました。それまでの社民党の政策を固守して「不寛容な善人」を貫き通したわけです。終始一貫しましたが、現実から遊離した社民党もまた凋落しました。鳩山さんも元々は「不寛容な善人」でした。権力を握って現実と妥協しなければならない立場に立ちましたが、妥協しきれなくて右往左往しました。

善人は、現実と妥協しても妥協しなくても、責任ある政治家になるのは困難を伴う、ということなのかもしれません。言い換えれば、責任ある政治家になるには「現実と妥協する悪人」でなければならず、しかもそれは元来の悪人でなければならない、ということになるのでしょうか。悪人でないと責任ある政治家にはなれない、これが今回のとりあえずの結論になりました。

近くの里山ガーデン 2020.10.6
Dsc_07332


2020年10月 2日 (金)

空気の力(「非国民!」は生きている)

「強硬でさえあれば喝采する国民の心理を乱用して・・・」。清沢洌という外交評論家がこう書いて軍部の暴走を批判しました。1933年3月号の雑誌「中央公論」誌上の評論です。日本が国際連盟脱退を表明したのが1933年3月27日ですので、その直前に書かれたはずの記事になります。

日本にこんな立派な評論家がいたくらいですから、太平洋戦争が勃発する前に、日米開戦を回避するために日本政府も裏では様々なチャンネルを使って懸命な外交交渉を行っただろうと推測します。でも、戦争反対をひとたび口にすれば、「非国民!」「腰抜け!」の罵声を浴びただろうことは想像に難くありません。日本国民の熱狂は軍部の暴走の後ろ盾となり、主要メディアはこれに迎合し、これを扇動しました。結局、戦争反対の少数の声は熱狂する空気の圧力に押しつぶされました。

空気の圧力というのは、いつの時代にもどこの国にも存在します。中国政府も韓国政府も、日本に融和的な姿勢を見せれば、尖閣や徴用工や慰安婦問題で強硬な自国民や反対勢力から一斉に批判の矢を浴びせられ兼ねません。国民のこうした対日強硬姿勢を、中国韓国政府は時として内政や外交に利用していますが、そろそろ冷静な対応を考えるべき頃になってもなかなかそれを実行できません。中国韓国メディアでも、日本の非や欠点をあげつらう論調の方が大衆受けするのでこれに迎合し、冷静な議論を押しつぶします。国民の強硬姿勢の空気の圧力が、政府の外交姿勢の選択肢を狭める結果となるのです。かつての日本と同じです。

今の日本にも、国民感情国民目線という名の空気の圧力をここそこに感じます。国民も政治家もみんな不安そうに周りを見渡しながら、孤立化を避け、批判されまい、バスに乗り遅れまいと、安心を求めて自ら進んでその圧力の一部に加わります。空気の力はこうしてどんどんと膨らんでいきます。

久しぶりに遠出した(浜離宮恩賜庭園)2020.9.30
P1060283
P1060280
P1060284


2020年9月 8日 (火)

みんなと仲良くはできない

「全ての国と仲良くしよう」、「アメリカとだけ仲が良くてもダメだ」。共産党や社民党の人たちはよくこう言います。「アメリカと仲良くするな」と言っているわけではありませんので、この主張は正しいと思います。正しいが現実的ではないと思います。

国会内で様々な政党が、口々に他の党の非を鳴らし責め立てています。同じ党の中でさえ派閥を作って他の派閥と対立しています。全然みんなと仲良くなんかしていません。議論しているだけで本当は仲が良い、というのはウソだと思います。みんなと仲良くなんてどだい無理なのです。

私たちは自分と同じ意見の仲間で集まって固まろうとします。一緒なら安心で、仲間に共鳴してもらえます。数を頼めば、外に向かって自分の意見を通しやすくなります。国や政党がそうなら、クラスや近所の人も同じです。人間の習性だから仕方ありません。

だから、アメリカとだけ仲良くてもダメということは、早晩他のどこかの国とだけ仲良くするということに他なりません。

<今日のメロディー>
赤とんぼ♬
https://youtu.be/gvPTZOJvAqo

2020年7月28日 (火)

是々非々

野党は政府の政策を大体けなします。めったに評価することはありません。首相の演説への感想を求められると、野党の党首はきまってクソミソにこき下ろします。

政府だって時々は良いこともするし、良い政策だって出すはずです。全部良いものもない代わりに、全部悪いものもないはずです。批判勢力は必要ですが、だからと言って批判だけしていればよいというわけではありません。自分たちが同じ立場に立ったら、きっと似たようなことをするであろうことまで批判するのはちょっとおかしいと思います。今は、良いところは良いと素直に認める政党や議員の方がむしろ評価される時代ではないでしょうか。

外国と一緒になって野党が政府を攻撃するようなことはさすがになくなりましたが、特に中国や韓国に対してはどちらかと言うと野党は遠慮がちです。政府も自省的かつ自制的ですが、この傾向は野党の方が強いと思います。その一方で、アメリカに対しては野党は強気です。

まとめるべき外交問題で日本の中に割れ目ができていれば、対立する外国はそこを巧みに突いてきます。北方領土、尖閣諸島、竹島など、領土問題で本当に日本の主張が正しいのなら、野党はもっと政府を後押しした方がよいと思うのですが、残念ながらあまり協力的ではないようです。どうしてでしょうか。是々非々では、野党の立ち位置が不安定になるのでしょうか。

 

2020年7月24日 (金)

民度は向上するのか

日本が尖閣諸島を国有化した時、激高した中国人は大挙して中国内の日本のデパートや日本食レストランを襲撃して破壊と強奪の限りを尽くしました。日本で「竹島の日」式典に政務官が派遣された時、韓国内では日本製品不買運動が起きました。興奮した韓国人の一人は、カッターナイフで自分の腹を切りました。中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりした時も、中国海軍の艦船が自衛隊の護衛艦にレーダー照射した時も、日本人は誰一人として中華街のレストランを襲撃しませんでした。韓国の大統領が竹島に上陸した時も、韓国製品の不買運動も切腹事件も日本では一切起きませんでした。

中国や韓国では政府の指導者はとても大変です。弱腰と受け取られると国民や政敵から批判の矢が向けられますので、彼らは日本に対し強硬にならざるを得ません。強硬になればなったでどこかで収束を図らなければなりませんが、その手段やタイミングを間違えるとまた国民感情に火がつきます。やむなく国内向けには強硬の形を取り繕った上で収束を図ることになりますが、これは非常に難しい舵取り作業になります。行きすぎた反日教育のツケとして、ナショナリズムの暴走と彼らは常に向き合っていかなければなりません。とても大変です。

その点日本の指導者は安心です。日本人は他国の車を壊したり大使館へ投石したり国旗を焼いたりはまずしません。国民は感情に走らず冷静な対応ができます。政府が国民感情の暴発暴走を気にすることなく他国と向き合えるのは、日本の強みの一つと言えるのではないでしょうか。私はそう思います。

日本人の礼儀正しさやおもてなしの心、街の清潔さと治安の良さ。海外から来る外国人は皆驚くそうです。私たち日本人はいつからこんなに民度が高くなったのでしょう。日本人は皆マスクをするなど、私たちの同調性が原因という人もいます。戦前の日本人のナショナリズムの態様は、今の中国や韓国の人たちと同じようだったのでしょうか。今はその時より民度が向上したのかもしれません。それとも、民度とは向上するものではなく、ただ国民性の現れに過ぎないのでしょうか。だとすれば、今後もずっと厄介な近隣との対峙を余儀なくされることになります。

もうすぐ収穫(ベランダのゴーヤ)2020.7.23
P1060047_20200724073901

2020年4月21日 (火)

権力者の苦渋

反対運動している人たちがいます。純粋さは彼らの主張を補強する武器のひとつになりますが、それは同時に、あるべき考え方の幅や発展性を阻害する諸刃の剣と言えないでしょうか。彼らは安全地帯に逃げ込んでいるように私には思えます。

現実の問題は利害が複雑に入り組んでいます。その問題を解こうにも、そもそも100%の正解がありません。恐らくは60%から70%程度の正解を求めて、私たちはその間をウロウロします。その程度の正解ですら、その時の社会環境や時代背景によってなおフロートします。頼みの民意さえ必ずしも正解と言えないことは、これまでの歴史が証明しています。

こうして私たちは不安に駆られ、100%の解を求めて分かりやすい安全地帯に逃げ込もうとします。ある問題に対して自分の考えや立場を純粋化単純化することは、自身の安心安定につながります。通常の心理としては当然かもしれません。

一方、国を指導する人たちの責任は重大です。彼らは、100%の解のある安全地帯など幻であることをよく知っています。白黒のはっきりしないグレーの中から選択し決断しなければなりません。どういう決断をしても100%の正解はありませんから、どっかから必ず攻撃の火の手があがります。時には民意さえも説得しながら、現実を見据えて苦渋の選択苦渋の決断をしなければなりません。それでいて、生きているうちは滅多に評価されることもないでしょう。

国民の大半は権力者の苦渋を知りません。私も知りません。強い権限と高い給料をもらっても、重い責任でがんじがらめです。いつも文句ばっかり言っている私ですが、権力者は実に孤独で可哀想だと時々は思います。少し味方しすぎたかもしれませんが、期待を込めて今回は応援しました。

お掃除小僧 2020.3.6 誰かに似ている
P1050713

P1050711_20200421094901

2020年3月24日 (火)

たまにはもっとほめたらいいのに

世界には196の国があるそうですが、そのうち次の8項目を全てクリアできる国はどのくらいあるのでしょう。私は是非知りたいと思います。

 ①国民の99%以上の人が、今日食べる食べ物にありつける。
 ②国民の99%以上の人に、安全な飲み水と電気が供給されている。
 ③国民の99%以上の人には、歩いていける距離に食料・日用品を買える店がある。
 ④国民の99%以上の人には、所要1時間以内のところに医者がいる。(医療)
 ⑤国民の99%以上の人が、その国の文字を読める。(教育)
 ⑥国民の生命が、他国との戦争や内戦で失われている状況にはない。(政治)
 ⑦国の失業率が5%以下である。(経済)
 ⑧国民には、国の一番偉い政治家に「あんたなんてダメだ、やめちまえ」と言っても、身の安全が保証されている。(思想・表現の自由)

日本の政治も経済も、これがダメあれもダメ、放射能と地震とコロナがこれでもかこれでもかと追い打ちをかけ、新聞は暗い記事ばかりです。たまに良いことが書いてあっても、後から「でも・だが・しかし」が続いてやはり批判や不安に至ります。確かに日本や日本人にはダメなところもたくさんあるでしょうが、良いところもたくさんあるはずです。

私は詳しいデータを持っているわけではありませんが、多分日本は上の8項目の全てをほぼクリアできるのではないでしょうか。資源がまるでない日本で、もしそれが満たされているなら、それは国民の優れた資質とこれまでの国のリーダーたちの優れた指導の賜物ではないでしょうか。けなすばかりでなく、たまにはもっとほめてあげたらいいのにと、時々はそう思います。

お彼岸の墓参り(久保山 花桃) 2020.3.21
P1050786
P1050782

<今日のメロディー>
青春サイクリング♪(←コロナを吹き飛ばしてくれる)
https://youtu.be/_cJy3x7iPwY

 

2020年1月31日 (金)

あいつのせいに違いない、と彼が思い込むのはなぜ(トランプさんの頭のなか)

現状に不満を持っている人の大半は、それは自分のせいだと認めたくはありません。認めれば自己嫌悪と自己否定に陥るからです。自らが傷つくのを避けるために、無意識のうちにこうなっているのはあいつのせいだと責任転嫁します。自分は被害者であることを自分に思い込ませるために、加害者をわざわざこしらえるのです。

不満や不安の原因をあれこれ探します。原因はこれだと見つけて、とりあえずは安心したいのです。自分がこしらえた加害者を攻撃する人もいます。攻撃的な人ほど不満や不安でいっぱいです。これらを解消するために、批判の目を自分よりも他人に向けるのです。

トランプさんの頭の中も不満や不安でいっぱいです。欧州は、中国は、日本は、長いあいだ米国を利用してきた、米国は損ばかりしてきた、と考えています。だから、欧州を、中国を、日本を、貿易面で責め立てています。米軍駐留経費でも不満を持っています。だから、韓国や日本にもっと駐留経費を増額しろと責め立てています。メキシコから移民が大量に押し寄せてきて米国民は職を奪われている、米国は損ばかりしている、と考えます。こうなっているのは他国のせいだと自分で思い込みたい、米国民に思い込ませたいのです。アメリカファーストが彼の決めゼリフです。

トランプさんの支持基盤の核は、不満や不安を持った人たちです。だから彼はことさら国民の不満や不安を煽っています。不満や不安は容易になくなりません。彼の固い支持基盤はなかなか崩せないでしょう。

こんな人でも大統領になれるなんて、アメリカの弱みと強みを併せて彼は体現しているようです。

紅梅が咲いています(三保市民の森)2020.1.30
P1050439

2019年12月20日 (金)

新聞には特にご用心

テレビやインターネットもニュースを伝えてくれますが、考え方をも同時に伝えてくれるのはやはり新聞です。新聞には傾向があり、例えば私の理解では産経と読売はやや右側に、朝日と毎日はやや左側に位置しています。私はたまたま親の代からの読売新聞の購読者ですので、自分では意識していないうちに多分読売新聞の論調の影響を受けているはずです。自分の頭で考えたように思い込んでいることが、実はそれがいつかの記事に掲載されていた読売新聞の論調である可能性は十分にあります。可能性というより確実にそうでしょう。

主として経済的な理由から、普通の人はそう何紙もの新聞を読み比べることはできません。聖教新聞だけを読む人は公明党の考え方にますます共鳴し、赤旗だけを読む人は共産党の考え方にますます近くなります。新聞は確かに読者の様々な意識を高めてくれますが、同時に新聞は一つの論調を構築して、特定の方向へ私たちを導きます。世論のオピニオンリーダーたらんと意欲的な新聞ほど、その傾向は強まるでしょう。

大手新聞の購読部数は最近はだいぶ減ったようですが、それでも依然かなりの購読者数を抱えています。ですから大手新聞の論調は、かなりの数の人たちの考え方に影響を及ぼし、一つの方向へ大きな流れを作ります。私たちは主体性の確保とか自由な意見表明と言いますが、その実、私たちの大半は知らず知らずのうちに購読する新聞に影響される存在です。あらぬ方向へ導かれぬよう、そういう謙虚な認識が必要だと思います。

だいぶ偉そうなことを言いました。ごめんなさい。

<今日のメロディー>
賛美歌320番♪ https://youtu.be/6OGyaFfPCDk

 

2019年12月17日 (火)

ついにヒトラーの出番

官僚を叩けば世論の喝采を浴びられると思えば、みんなそうします。大衆もメディアもそうします。それが行き過ぎれば、やがて反省が生まれます。風向きが変わった途端にみんなは言い出します。官僚の知恵も借りろ、官僚をうまく使いこなせ、と。知恵を借りるのと言いなり丸投げとは、ほぼ同じことの裏表です。使いこなしているのとうまく乗せられているのも同様で、視る角度が違うだけで見分けは難しいでしょう。つまりは元へ戻れということです。

上記は小さな例ですが、私たちはいっとき極端に走って、反省が生まれると今度は反対側の極端に走ります。いつも右往左往です。実は極端は分かり易くて安心で、みんなを団結し易いのです。日本のこの前の戦争も、鬼畜米英で極端な主戦論に傾きました。戦争に負けた途端にアメリカべったりになりました。

望ましい現実は、多分不安定で悩ましい位置どりにあります。その位置に耐えられないと、ついには極端な男ヒトラーの出番になります。トランプさんはその小型版です。世界にもミニトランプと思われる指導者が出てきました。

日本国民も民主主義の長ったらしさにそろそろ飽き飽きしていますので、日本にそういう人物が現れないという保証は全くありません。少し心配になっています。「桜を見る会」で言い訳している首相が、私たちにはほどほどで似合っています。

昨年植えて実をつけたベランダのミニトマト。同じ苗が今夏も実をつけた。まだ花が咲いている。温暖化? 2019.12.14
P1050269  

 

<今日のメロディー>
朝はどこから♪
https://youtu.be/PLhPrmXTN-s

 

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー